精神障害

退院請求における地域格差① ~退院が認められる割合に関する格差~

前回は、退院請求のうち約5.8%の割合で退院が認められる(もしくは措置入院が解除となる)ことをお伝えしました(平成30年度の精神行政報告例より)。

今回は、退院請求における地域格差①ということで、退院が認められる割合が、都道府県によってどの程度異なるのかを検証していきます。

なお、退院と措置入院の解除を合わせて、ここでは退院と言っています。

まずは、グラフをご覧ください。

ここに記載のない都道府県については、退院が1件も認められなかったことを示してます。

つまり、約半数の都道府県においては、1年間を通じて、退院の請求が全く通らなかったということになります。

言い換えれば、これは審査を担当する精神保健福祉センターが、審査を請求した患者全ての入院継続が妥当であると判断したことになります。

これが全て適切な判断であったのか、知る由もありませんが、地域格差があるという事実は、このグラフから言えるのではないかと思います。

こうした都道府県がある一方で、滋賀、鳥取のように、かなり高い割合で退院が認められるところもあります。

こうした自治体が、人権擁護の意識が高いのか、それとも請求の件数が少ない中、たまたま退院が認められるケースが複数あり割合が高くなったのか、そのあたりはこれから検証が必要かと思います。

日本において、精神障害者の人権擁護に積極的に取り組んでいるのは、大阪の精神医療人権センター、福岡県の弁護士会などが有名です。

大阪、福岡は両方とも、全国平均を上回る数値となっていますので、やはり人権擁護のための取り組みの風土があるということは、ひとつ重要な点かと思います。

また、ひとつご理解をいただきたいのは、このグラフは退院請求の実際を示しているかどうかは不明であるということです。

退院請求の件数をまとめたものとして、精神行政報告例以外に、もうひとつ630調査というものがあります。

630調査は精神医療の中では非常に重要な調査のひとつです。

そして実は、平成30年度の精神行政報告例と平成30年度の630調査の結果を比べてみると、そこには大きな数値の乖離があることがわかります。

両者は調査の方法などが異なるため、若干の誤差が出るのは仕方ないのかもしれませんが、数値の差が非常に大きく、どちらを用いるかによって大きく異なる結果となってしまうという状況です。

なので、今回はどこの都道府県が多いのか、少ないのか、ということではなく、地域格差があるということだけを皆さんの頭の中に入れていただけると幸いです。

また、630調査の結果も踏まえながら、なるべく真実に近い情報を皆さんにお伝えできるよう努力してまいりたいと思います。

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