子育て・夫婦

2026年のひのえうま、出生数は減少するのか?【1966年の分析からの検討】

ひのえうま(丙午)って知ってる?

知ってるよ。

十干十二支のひとつで、60種類あるうちのひとつが、ひのえうまだよね。

ひのえうま生まれの女性は気性が荒く、夫を不幸にするなんて迷信もあるよね。

そうそう。

そして次のひのえうまが2026年に来ると知って、少し不安な気持ちもあるんだよね。

少子化が問題になる中、前回のひのえうまである1966年みたいに出生数が大きく減少してしまうと、社会的な影響も大きいのかなと思ったりしてるんだ。

そうだね。

1966年頃は合計特殊出生率も比較的高い時代だったから、そこまで出生数の減少が問題にはならなかったけど、今からさらに減ってしまうかも・・・と考えると確かに難しい問題だね。

今回は1966年当時のことを振り返りつつ、2026年の出生数について一緒に考えてみよう!

1966年の出生数減少とその背景

図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移(図)

これは、厚生労働省が公表している、出生数・合計特殊出生率の推移です(引用URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html

見てわかるように1966年の出生数、合計特殊出生率が大きく減少していることがわかります。

この時の合計特殊出生率は「1.58」でしたので、かなりの数の産み控えが起こったと言われています。

1967年には人口が1億人を突破 、1971年に第2次ベビーブームが到来した(団塊ジュニアの誕生)とも言われていますので、出生が多い時代にこのような状況になったということで、非常にインパクトの大きな出来事であったと言われています。

また、この現象は世界的にも有名となり、ひのえうまは「Fire Horse」という名称で、海外のニュース等にも取り上げられたそうです。

(ちなみに、「丙」は火の兄(ひのえ)であり、「午」も火を表すため、もともとひのえうまの年は火事が多いと言われていました。それがいつしか、女性の気性と関連するという言い伝えに変わっていったと言われていますが、英語訳の際には、本来の意味である火(Fire)という訳があてられたという形になっています)

しかし、当時の資料を見ると、1966年の時点で日本はすでに科学の時代を迎えており、こうした迷信によって出生数が大きく減少することはないだろうという事前予測があったと言われています。

多くの人が迷信は信じないという姿勢を持っている、ひのえうまに関する言い伝えは誤っている、そう多くの人が理解しているだろうと考えられていたわけです。

しかし、結果的にその期待は裏切られることとなります。

この結果の背景にはどのような心理的、社会的状況があるのでしょうか。

1966年に実施した、子どもをもたない理由に関する調査の結果を見てみると、「ひのえうまには生みたくない」と回答した者はわずか3.9%であったことがわかります。

この結果だけを見れば、ひのえうまの言い伝えを信じている人はほとんどいない状況があったと考えることができます。

しかし、調査というのはどうしても社会的望ましさの影響を受けますので、常に回答者の本心を引き出せるというわけではありません。

おそらく、「ひのえうまに関する言い伝えを信じています」とは言えない社会的な状況、心理的な状況があったのではないでしょうか。

さらに、ある研究では、ひのえうまは生まない方向に意見を変えたというよりも、あらかじめ持っていた「当分の出産拒否」という態度を強化する方   向に働いたと考えることもできると指摘されています。

この年代は、出生数も多く、女子は結婚して出産をするのが当たり前という社会的な役割もまだまだ普通にあった時代です。

しかし、当時の女性の心理についてみてみると、現代と同じように自分自身の生活も大事にしたい、子育てだけで人生を終わりたくないと考える女性も多かったと言われています。

そうした中で、妊娠・出産を希望しない女性が、ひのえうまを理由にそれらを回避したのではないかということも仮説のひとつとして考えられているのです。

つまり、科学の時代においてもひのえうまという迷信が一定の影響を与えた、出産をしたくない女性がひのえうまを理由に出産を回避した、そういった可能性が示唆されています。

2026年はどうなる?

神戸新聞の記事によると、「結婚しない選択肢も一般的になり、迷信に惑
わされるような時代ではない」として、出生数の大幅な減少は起こらないことを指摘しています。

しかしその一方では、「今の若者はSNSなどで回ってくる情報を信
じやすい。理論的にはあり得ないと分かっていても、丙午が大々的に広がれば、それが宗教のようになって出産を控える風潮につながるかもしれない」とも述べ、ひのえうまに関する集団心理が作用することで、出生数に影響を及ぼす可能性があることも示されています。

大見ら(2019)の報告によると、ひのえうまに出産を回避したいと考える大学生は、男女ともに2割程度いることが報告されていますが、調査協力者が少なく、この世代の意見を反映しているとは言えません。しかし、回避したい学生が一定数いることを示したという点においては、興味深い結果でもあります。

しかし一方では、出生数が減ることで、受験や就職が多少楽になるのではないかと考える人もいるおり、逆張り的な形で、あえてひのえうまに出産をするという人も出てくる可能性もないとは言い切れないのではないでしょうか。

特に、競争が激化する社会においては、ライバルが少ないということは大きなメリットとも言えますので、そうした出生数の減少を狙うというのも親からすれば一つの選択肢になり得るのだと思います。

出産を回避したい気持ちになるか、出産のメリットを重視するか、その意思決定については、やはりメディアやSNSの影響は大きいと言えます。

また、現代においては、自己肯定感の低い若者が多く、そうした若者は外からの意見に流されやすい傾向があると言われています。

そうした中で、ひのえうまについてメディアがどのように報道するか、どのような情報が流れるかといった点は、出生の意思決定に直接的に影響を及ぼす可能性があり、本来は慎重に、かつ戦略的に考えていかないといけない部分であると思います。

現時点では、あまり注目を浴びていませんが、今後どのように報道がなされていくのか、注意してみていく必要がありますし、適切な情報を上手に取捨選択していく必要があるかと思います。

1966年よりも、より一層科学が進んだ現代において、ひのえうまえの迷信がどの程度影響力を持つのか、注目していきたいと思います。

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